煮干しについて正しく理解しましょう

1.煮干しについて~種類と選び方

「煮干し」と聞くとイワシを思い浮かべるかもしれませんが、「塩水で魚介類を煮て乾燥させた食材」 を煮干しと呼びます。一番有名なのはカタクチイワシの煮干しで、味噌汁や鍋といった出汁を感じる事の出来る食べ物を始めとした様々な料理に使われています。うまみ成分の代表であるイノシン酸とグルタミン酸を含むので、風味付けだけでなく、単体でも旨味を味わうことができます。

カタクチイワシの煮干しは煮干しの中でも生産量がダントツで、種類がたくさんあります。背中の色が青いものは濃い出汁が出るので関東好み、背中の色が白いものはまろやかな出汁が出るので九州や四国好みと言われています。

また、大きさによっても出汁の出方が異なります。小さなものはあっさりとしたクセのない出汁が取れますし、一方、大きなものは脂肪量が多い分、しっかりとしたコクのある出汁が取れます。良い煮干しを選ぶコツは、黄色く変色していないこと、腹割れしていないこと、傷がないことです。

カタクチイワシ以外にも、真イワシが原料で、カタクチイワシよりもクセのない、コクのある出汁が取れる平子イワシ、ラーメンスープにも使われるアゴ(トビウオ)、お米と一緒に炊くと鯛めしが出来る鯛の煮干しなどがあります。意外なところでは、干しエビや乾燥させたホタテの貝柱も煮干しの仲間なのです。

2.煮干しの歴史

煮干しについての歴史は古く、飛鳥時代には「いわし煮」という名で、献上品として朝廷へ納められていたと言われています。市場に流通している現在の煮干しの形になったのは18世紀の始めで、塩が作られるようになってからという記録が残っています。

出汁を取るのに煮干しが使われ始めたのは、江戸時代からと言われています。それまでは鰹節や昆布で出汁が取られていましたが、それらは当時高級品で、一般家庭では入手が難しかったので、煮干しで代用されたのが始まりのようです。当初は生産が盛んな西日本で使われていましたが、明治時代には東日本でも生産が始まり、徐々に広まっていきました。

3.出汁の取り方

出汁の取り方には水出し法という方法もありますが、今回はカタクチイワシの煮干しについて、しっかりとした出汁が取れる「煮出し法」をご紹介します。

水1リットルに、煮干し30gを用意してください。まず、煮干しを縦半分に割って、臭みと苦みのもととなる頭と腹わたを一つずつ丁寧に取り除きます(小さな煮干しの場合は、取らなくても臭みは気になりません)。

次に、乾煎りをします。フライパンに煮干しを入れて、魚臭さが軽くなり、香りが立つまで2~3分煎ります。そして、ボウルに水と煮干しを入れて、ラップをかけ、冷蔵庫で一晩寝かします(時間がない時には最低30分水に浸けます)。

水がうっすら色付いたら取り出し、鍋に移して中火で熱します。沸騰したら火を弱め、3~4分アクを取りつつ煮出していきます。うまみが出たらザルでこして、出来上がりです。