1. 多種多様な煮干しについて
煮干しはもともと、江戸時代の中期以降にみそ汁の出汁をとるために使われるようになったのが始まりです。当時でも鰹節や昆布を使った出汁はありましたが、高級だったために庶民にとっては手が届きにくい存在でした。しかし煮干しを使えば、高級な食材を使わなくてもおいしい出汁が取れるという事で、庶民に普及したのです。
煮干しとなる魚には、いくつかの種類があります。主に口イワシやウルメイワシ、マイワシなど、体長が小さなイワシが使われることが多いのですが、必ずこの種類でなければいけないというルールはありません。地域によっては、トビウオやアジを煮干しの原料とすることもあります。
煮干しについて知り、製法を知っていると、自宅で煮干しを作れるようになります。製法はとても簡単です。
まず、小魚を沸騰した食塩水の中でグツグツ煮てから、天日に干して乾燥させるか、火力を使って乾燥させます。煮干しの原料となるイワシは、他の魚と比較して脂質が多く、この脂質が酸化してしまいます。グツグツと煮ることによって脂質をある程度取り除くことができるのです。
また煮出すことによって、魚の肉質を良い状態に維持できるというメリットもあります。魚の肉は酵素によって少しずつ劣化しますが、あらかじめ煮ておけば劣化を止めることができます。
2. 煮干しには特産地がある
家庭で自作することもできる煮干しですが、日本には煮干しの特産地があります。原料となるイワシが豊富に水揚げされる長崎県をはじめ、熊本県や千葉県など、日本有数の漁港を持つエリアが、煮干しの特産地となることが多いです。中でも長崎県は国内でも気候が温暖で恵まれているだけでなく、海岸線が入り組み、温かい海流に乗ってたくさんの魚が水揚げできます。中でも6月から8月にはイワシが大量に水揚げされ、それが煮干しとして製造されて全国へと発送されます。
煮干しは、スーパーでも販売されています。多くの場合には、複数の煮干しが無造作に袋に詰められた状態で販売されており、中には頭や尻尾が欠けているとか、折れているモノなどもあります。出汁をとるために使うなら、多少形がいびつでもそれほど気にならないかもしれません。しかし、できるだけ品質の良い煮干しを選ぶなら、1尾の形がしっかり残っているもの、目の部分がしっかりしたものを選ぶのが得策です。また、イワシは背の部分が黒く、おなかの部分がクの字に曲がって白く光っているものが高品質です。
3. 煮干しを美味しくいただく食べ方とは?
煮干しの食べ方は多種多様ですが、最も定番な頂き方は、やはり出汁をとるという方法です。苦みが出ないようにはらわたと頭を取り除いてから、自ら煮干しを入れて強火で煮ます。沸騰したら火を弱め、弱火でグツグツに出していくと、内側からうまみが出て、おいしい出汁が取れるでしょう。
その他の食べ方としては、骨ごと食べられる煮干しの特性を生かして、カルシウムたっぷりのオヤツにするという方法はいかがでしょうか。小腹が空いた時によく噛んで煮干しを食べると、満腹感を得られるので、ダイエット食としても活躍してくれます。