魚を乾燥させた食材、煮干しについて

栄養満点、煮干しについて

煮干しについて一言でいうと「魚を塩水で煮て、乾燥させた食材」のことを言います。煮干しにはいくつか種類があって、一般的によく使われるのがイワシです。カタクチイワシやうるめいわしなど、めんつゆの出汁に最適です。トビウオの煮干しであごだしがあります。お雑煮や塩ラーメンスープなどに多く使われます。タイの煮干しは澄んだ出汁がとれて、ご飯と炊いたりお吸い物にも使われます。煮物や炒め物に一緒に入れたり、そのまま食べてもおいしいのが干しエビやホタテの貝柱です。濃厚な味わいで旨味を堪能できます。煮干しはおいしい出汁が出るだけではなく、栄養面でも優秀です。魚の栄養分で有名なのは、魚の脂の中にあるドコサヘキサエン酸とエイコサペンタン酸です。ドコサヘキサエン酸は脳細胞を活性化し、脳の老化を予防します。エイコサペンタン酸は、血液をサラサラにして脳梗塞なども予防してくれる作用があります。また骨や歯を作るカルシウムや鉄分、カルシウムとリンの吸収を促進するビタミンDも含まれます。

 

他にも身のたんぱく質に含まれている酵素のイワシペプチドは、血圧を安定させる作用があるので、高血圧予防に効果が期待できます。また加熱するとイワシペプチドの血圧を下げる効果が2倍になります。またこれらの栄養素は美容にも効果がみられます。煮干しの主成分はたんぱく質です。コラーゲンはたんぱく質の一種なので、煮干しからたんぱく質を摂取することで、原料となるコラーゲンが十分に作られて、ハリも出て美肌効果に繋がります。またカルシウムは、脂肪の代謝にかかわりがあります。体の中にカルシウムが十分ある状態では、脂肪は吸収されずに分解されます。イワシペプチドも脂肪を分解してくれるので、生活習慣病などの予防にもなります。旨味成分であるイノシン酸は鰹節の2倍もあり、独特の煮干しの香りも楽しめます。ただ、煮干しは塩分が多いので、やたらたくさん摂取するのは注意が必要です。

 

煮干しについて、良しあしを見分けるのにはいくつかポイントがあります。煮干しの脂肪分は酸化すると黄色く変色します。臭みが増すので黄色くなっている煮干しは良い出汁が取れません。また魚を塩水で煮だしているときに、腹割れを起こすことがあります。するとそこから旨味成分が逃げてしまうので、美味しい出汁が出なくなることがあります。そのため、腹割れしていないものや、傷ついていない煮干しを選ぶといいでしょう。

 

煮干しの出汁を取る方法には水出し法と煮出し法があります。水出し法は頭と腸わたを取り出し、2分から3分乾煎りしてから水に入れます。ラップをして冷蔵庫で一晩置くと、あっさりとした旨味が溶け出した出汁の完成です。煮出し法は、同じように下処理をして出た出汁水を強火にかけます。沸騰したら弱火にしてアクを取ります。3分から4分程度煮出してザルでこして完成です。水出しする時間のない場合は、30分程度水につけておくのでもいいです。また小さい魚の場合は、頭と腸わたを取らなくても、そんなに臭くないので気にならない場合は取らずに出汁をとってもいいでしょう。