煮干しについて~種類による味わいの違いとおいしい出汁の取り方~

1.煮干しについての定義

「煮干し」とは、魚介類を食塩水などで煮て、天日干しや加熱することで乾燥させたものです。長崎県で全国シェアの約1/4の量を生産されており、続いて熊本県や千葉県などで多く作られています。

「煮干し」を「イリコ」と呼んでいる場面に遭遇した方がいらっしゃるかもしれません。実は「イリコ」は主に西日本で使われている言葉であり、「煮干し」と同じ意味の言葉なのです。

2.栄養面から見た煮干し

カタクチイワシを原料にした煮干しの場合、100グラムあたりのカロリーが298キロカロリー、糖質は0.3グラムです。三大栄養素の1つであるタンパク質は64.5グラム、骨や歯を形成するのに欠かせないカルシウムが2200ミリグラム、大切なミネラルである鉄が18.0ミリグラム、脂溶性ビタミンの1つビタミンDが18.0マイクログラム、必須脂肪酸のDHAが320ミリグラム、EPAが260ミリグラムなど、体を作るのに必要な栄養素が多く含まれています。

3.煮干しの種類

煮干しとして一般的に流通しているものはカタクチイワシを乾燥させたものですが、他の魚も原料として使われることがあり、それぞれ味わいが異なります。

例えば、カタクチイワシで作った片口煮干しについては、漁場の違いから白口煮干し(瀬戸内海など)と青口煮干し(千葉など)があり、白口煮干しで取った出汁のほうが甘味があるとされています。

ウルメイワシで作ったウルメ煮干しは長崎で主に生産されており、脂肪が少ないことから、上品な甘味のある出汁が取れます。

アジを原料にしたアジ煮干しは苦味が少ないため、はらわたを取る必要がないという特徴があります。出汁はあっさりめで甘味があり、高知などで重宝されて、よく使われています。

原料以外に、その大きさでも味わいに大きな差が出ます。大きいほど出汁が濃くなり、旨味が強くなるので、うどんの出汁に最適です。逆に、小さい場合はあっさりとした味わいになるので、煮物に使うか、そのまま食べるのに向いています。

4.煮干しの出汁の取り方

煮干しから出汁を取るには、水に浸しておく方法と煮出す方法の2種類があります。

どちらの場合でも、下準備として、頭とはらわたを取り除きましょう。これは、苦味など余計な成分まで出てしまうのを防ぐためです。大きな煮干しの場合は、ここで2つに折っておくことで出汁が出やすくなります。

下準備が済んだらいよいよ出汁を取りますが、水に浸す場合は一晩かかるという点に注意が必要です。夜に準備をしておくと、そのまま放置しておけば翌日にはおいしい出汁が取れているので、早めに準備しましょう。

煮出す場合には、鍋に水と煮干しを入れてから、火をつけます。湯に入れるのではないので、気をつけましょう。沸騰する直前に火を弱め、アクを取ったら、そのまま5分から10分、煮出しましょう。

目の細かいザルか布巾を使い、出汁を濾したら出来上がりです。